才能ない脳

かわいい自分を演出するためだったのにいつのまにやらゲボの掃き溜め

執着と破産

◽︎脆弱な、自/我/境/界

何度も何度も、同じ話で申し訳ないとはおもっているんだ。だけど、ツラちゃん、聞いておくれよ、きみは知っているだろうけど、僕はとてもダメなんだ。次の2月で28になる、なにも状況はよくなっちゃいない、むしろ行き詰まる一方だ。どんどん願ったものからは遠ざかり、まともだとかふつうだとか、もう一生縁がないような気持ちになるんだよ。惨めだ。ねえツラちゃん。どうしてだろう。僕はもうシンガーソングライターになりたいだとか、同人作家になりたいだとか、愛だの恋だのでしあわせになりたいなんて、そんな希望も歯を食いしばって切り捨てたのに。どうしてこのなんの面白味もない生活を維持することすら叶わないんだろう。それが精神障害者に科せられた、定められた末路なのだろうか、だとしたら、ああ、だけど、だとしても、社会を恨むよりも、僕はどうしても自分を憎まずにはいられないよ。ツラちゃん、僕はどうしてこんなことになったんだろう、どうすればよかったんだろう。ツラちゃん、道行く人にいちいち劣等感を覚えて、まともに目も合わせられずに死を想うのは、もう嫌なんだよ。

……近いうちに、実家に帰るよ。あの街には何もない、ここよりもずっと終わっている場所なんだ。インターネットだけが本当で、あとはただただ終身刑と変わりのない日々だよ。そうなれば、もうなにもいらないし、なにも望んではいけないのだろうね。そしていつか、きみが話していた孤独なキモいオッサンに、僕もなるんだ。

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お金の話はあまりしたくない、だってダサいから。なにがダサいってこの歳で親の収入で暮らしていること、でもそんな生活も当然長くは続かなくて、もうじき終わりそうです。父親が自己破産をしろとうるさい、ので、■んで欲しい、きらい。家族の話もあまりしたくない、一見するとなんの問題もないようにみえるだろうから、こんなにも歪んでいるのに、伝わらないから。先日は父親と電話で酷い口論になった。仏壇燃やしたときと何も変っちゃいない、クソな僕、クソな父親、的外れな母親、行き詰まり。2年前に障害年金の一時金のうち250万を母親に預けたところ、仏壇を買い直した金に充当した、と聞かされたときに感じた憤り、え、僕が間違ってるんですか?だって、僕はそんなもの少しも欲しくはなかったのに。オマエ今みたいな生活してたら一生自立なんてできないよ、って言われました、あたまのどっかでその通りだと思いながら、どうやってこいつを苦しめてやろうかななんて考えていました。なんで生活ってお金かかるの、楽しくないのに、望んでないのに。もうひとつ聞いていい?死ぬこと以外にこの生活を終わらせる方法ってあるの?

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ワイドショーが嫌いだった、たぶん、物心ついたときから。自分が世間一般でいう、普通から外れていると感じたときから。いつか自分の卒業文集に書いた作文が、リポーターだか司会者だかの口から読み上げられるのだと信じて疑わなかった。確信があった。

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“真実の愛” は、たびたび空想上の物語において、あらゆる呪いに対する特効薬として用いられる。しかしながら、我々が生きている世界とは尺度の異なる座標にあるため、我々は“真実の愛”そのものに出会うことはない。どれほど幸運な人間だとしても、触れられるのは“真実の愛”がこの世界に落とした影のようなものだけである。

よって、我々にかけられた呪いが解けることはない。つまり、我々の人生は、肯定されることも、許されることもない。

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……好きな、ひとがいたんです。たぶん、ですけど。あの、なんていうか……ホモの恋って、どう取り繕っても少女のそれのようには美しくなれなくて、すこし、さみしい、ですね。だって、そのひとと知り合ったのも、出会い系アプリなんですよ、もうイントロから間違ってるじゃないですか、でもそれしかないんですよね、偶然だとか運命だとか……そんなの、縁が、なかった、なぁ。

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ただ なにもない まっしろな りかい