才能ない脳

かわいい自分を演出するためだったのにいつのまにやらゲボの掃き溜め

POSITIVE STRESS

□ POSITIVE STRESS

 後輩女子:山口と大森靖子ちゃんのTOKYO BALCK HOLEツアーファイナル@ZEPP東京にいきます。


大森靖子「POSITIVE STRESS」MusicClip

 新譜のPOSITIVE STRESS、いいです。

 火山ちゃんが「大森靖子は弾き語りの頃が一番よかったなんて言わずに今の大森靖子をみなよ、最強で最高だから」みたいなこと言ってて、グッときました。

 おれはもう、「二丁目の大森靖子になりたい」なんて厚かましくてとても言えなくなってしまったけど、あんな気持ちがもう一度思い出せたらな(そもそも二丁目はおれの居場所ではなくなってしまった)(そもそもそもそも楽器が出来ない)。

 ねえ、寒いですね。地下鉄の駅を出たら息が白くなって、まだ11月になったばかりなのにね、真冬みたい、とは後輩女子:山口の台詞。風邪ひきそうよ。

 

□魔法が使えないなら死にたい

 少し昔話をさせてね。

 2013年の4月、タワーレコード新宿店の邦楽フロアで「魔法が使えないなら死にたい」という文字を目にしたとき、おれはアタマん中がグシャってした。お前はわかってくれんのかよって、まだ信じられなくてイラだったけど、ちょっとうれしかった。キモイね。その言葉は、おれの鬱屈した生活のだいたいほとんどすべてだとおもった。で、ジャケットを見て唖然。「これ、勝訴じゃん、大丈夫かよ」それが大森靖子だった。

 そのころのおれは、タワレコのポップやキャッチコピー、さらには”ポスト○○!!”といった表現に辟易していて、音楽のことなんてそんなに好きじゃないかもしれないとすらおもってた。タワレコにいたのも、多分新宿でホモと遊ぶための待ち合わせまで、時間を潰していただけだと思う。でも視聴機のヘッドホンを耳につけて、そのアルバムを聴いたとき、愛してるよ、愛してるよ、愛してるよと繰り返す、予想していたよりも少ししゃがれた女の声に、これはもうダメだ、すきになるって確信した。そのCDは宝物になった。

 おれはそれまでアーティストのライブなんて数えるほどしか行ったことがなかったんだけど、トリプルファイヤーとのインストアライブ、新宿LOFTでの転校生、ベルハーとの3マンライブ、そんで、渋谷クアトロワンマンと、彼女のライブにはちょいちょい足を運んだ。ギターをかき鳴らして歌う彼女に圧倒されるのはなによりも気持ちがよかった。

 おれの2013年はこのアルバムと共にあったと思う。ホモのツイッターに歌詞を投稿してメンヘラ扱いされた。クリエイティブライティングの講義では、彼女の歌詞をもとにショートエッセイを書いた。@ユーチューブさんで彼女のライブ映像や動画をずっと見ていた。おれの部屋ではいつも大森靖子が流れていた。

 彼女の言う魔法とは、おれが考えてたようなファンタジーの世界の魔法じゃなくて、もっとずっとたしかな音楽の魔法のことだったけど、魔法が使えないなら死にたいと歌う彼女はもう、とっくに魔法使いだと思った。クソ陳腐な言葉でごめん。だっておれの生活を描き換えてしまったんだもの。


大森靖子「魔法が使えないなら」PV

 

□ファンレター

 こんなにすきだって、おれはただのファン、消費者でしかなくてね。だからCDも買うし、ライブもいくし、応援したいと思っているけれど、それでも1ファンの枠からはどうしても出ることが出来なくて、きっと靖子ちゃんがおれの声のことを「かわいい声ですね~」って言ってくれたことも、おれがそれで自分の気持ち悪いと思ってたホゲホゲ声を受け入れられたことも伝えられなくて、このままいつかよくわかんないままよくわかんなくなっちゃってこんな気持ちを忘れるのかなって思ったら、すごくさみしいよ。一度だけふぁぼってくれたあのツイートはおれの宝物です。

 もし何者かになれたら、大森靖子ちゃんの大ファンですって言いたかったな。それだけなんだけど。