才能ない脳

かわいい自分を演出するためだったのにいつのまにやらゲボの掃き溜め

昨日と空白

□特に何も考えていないので、何もないです。

 

金木犀の夜

駅のスターバックスまで出かけて、置かれている小さなボードに描かれていたカボチャがクリスマス向けの商材に入れ替わっていて、いつのまにかHalloweenも終わっていたことを知る。そういえば、もう半袖短パンでは眠れないな。また季節に置いてきぼりをくらった気分だった。もうすぐ27になるのですが、例えばほんの2年前よりも、一年がどんどん早くなってきて、だけど何もない1日は長くて、こんな風に一生は終わるのかな、ってもう100回くらい言っている気がする。少し前に金木犀がたくさん咲いているのを見た気がしたけれど、数えてみたら全然少しじゃなかった。ね、桜が咲いている間だけが春であるように、金木犀が咲いている間だけが秋なのかもしれないよ。僕ら何もなかったね。

さて、11月だ。

 

ラッキーストライク

死のうと思ったのには特別なきっかけなんてなくて、もうとっくにダメになってしまっていることはわかっていて、それがたまたまその日キリが良かったから。でもここで死ぬのはイヤだったからやっぱり東京へ行こうと思った。9monでやり取りしていた中に交通費を出してくれるという奇特なおじさんがいて、甘えさせてもらうことにした。カウンセラーと精神科医にお礼を告げて、その日の夜のバスで東京へ向かった。バスの中ではようやっと死ぬんだ、という安堵感と満足感と少しの感傷でちょっと泣けた。何も知らないままの僕が芦花公園駅がいいなって思ったのは、やっぱり、名前も顔も、ツイッターのIDさえもしらない彼に憧れていたから。でもそれってパクリじゃん、なんのオリジナリティもないじゃん、て、いつかたいちゃんに言われたことを思い出してクスッと笑った。

9monでやり取りしていたおじさんは特別お金持ちでもなく、少しお洒落な細身の人だった。おじさんって言ったら失礼かな、まあいいか。5年ぶりくらいに池袋の花田にラーメンを食べに行ったり、都電荒川線で早稲田まで行ったりして、2日間だけ遊んだ。2日目に明治神宮に参拝に行ったときに、どうかあっさりと死ねますように、死後の世界にはせめて何もありませんように、ととてもかみさまにすることじゃない願い事をした。

金曜の朝、仕事だから、と朝9時前にわかれた。そのとき、ホントに死ぬなら帰りの交通費返してねって言われたのが、彼なりの死ぬなよ、だったのだと思う。踏み倒しますよ、と笑って答えた。

その日は後輩女子山口とカラオケに行った。もうわたしも26ですからね、昼の仕事も探さなくちゃだし、実家の車の名義も書き換えなきゃならないし、めんどくさいことばっかで身体が動かないんですよねー、なんて愚痴を聞いていた。なんとなく、彼女には死のうと思って東京へ来たことは伝えなかった。何度ももう死ぬ!もう死ぬ!とヒステリーをかましてきたから、今更、余計なことは黙っていようと思った。

後輩女子山口とわかれて、僕は新宿三丁目へと向かった。目的地は当然のように2丁目で、邦楽ロックナイトがあったから。そこではよししとかころすけせんせーとかぽんきちくんとかたいしょんくんとかに会ったけれど、何を話したのかよく覚えていない、酒のせいかもしれないし、本当は何も話していないのかもしれない。馬鹿みたいにはしゃいで、踊り続けていたので、汗ぼったになったし、肩と脚の筋肉が死んだ。ニートがたまにイキると痛い目を見る。途中、にんにんが来たので、しばらく行動を共にした。明日の夜空いてるよ、と言われたので家に行きたいと伝えた。明け方、腹が減った、ラーメン食い行こうぜ、と誘われてふたりで抜け出した。どこにでもあるような家系ラーメンを食べながら、ねぇ、前から思ってたんだけど、にんにんととしおってどうしてそんなになかよしなの?と尋ねた。お互い仲良くしているグループも違うし、どうしても受け入れられない部分もおれもあいつも持ってるだろうけど、なんとなくウマが合うんだよね、みたいな返事をもらった。僕は誰ともそんな関係にはなれなかったな、なんてぼんやり思いながら、もう来ないだろういつかのことを考えた。

結局、翌日にんにんと会うことはなかったし、としおとにんにんの家にも行かなかった。

板橋駅に向かう埼京線の中では深夜高速の歌詞を反芻していた。ねぇ、生きててよかったって、今でも思う?オール明けできむらちゃんちに行くと、いつもよりすこしのんびりした様子で出迎えてくれた。土曜のぼんやりした内容のテレビ番組を見ながら(なんかしいたけとか育ててた)、秋の暖かな日差しの中でベッドを借りて少し眠った。夕方、きむらちゅゎんとマツコの知らない世界で紹介されたという湿ったチャーハンを食べに行った。きむらちゅわんはナスバターチャーハンで、僕は牛肉バターチャーハン。店内では逆転裁判のアニメが流れていて、それをぼーっと見ていた。肌寒かったのでUNIQLOでパーカーを買うと、外は土砂降りの雨で、きむらちゅゎんがファミマまで走ってビニール傘を買いに行ってくれた。靴をぐしゃぐしゃにしながら駅まで向かった。いつもなら不快でしかない、歩くたびに水分がにじみ出るような足の感覚が、なんとなく尊く思えた。改札前でじゃあ、楽しんでね、と手を振ってくれたきむらちゅゎんを見ながら、ありがとう、なんて気取って呟いた。

新宿へ着くと、都営新宿線新宿三丁目駅の改札前でたいちゃんに「ともさん」と声をかけられた。知らない人とフォロワーとたいちゃんの組み合わせだったのでなんだろう、と不思議だったのだけど、偶然、傘に入れてくださいと声をかけられただけだということだった。知らない2人は新宿線の改札に消えて行ったので、たいちゃんのバイトの時間までベロ②でお茶をすることにした。たいちゃんは知らない間に2丁目でバイトを始めたそうだ。かろうじてなんで?とだけ聞けるようになるまで時間がかかった。まあ、彼がいいならそれでいい、いつものことである。

たいちゃんをお店まで送って、シャインマートの前で煙草を一本吸って、それからDUBPOPNIGHTへ行った。ワタルさんという、顔出ししていないフォロワーさんに話しかけていただいた。とても素敵な人だった。というか、DUBPOP NIGHTには素敵な人しかいなかった。完全に浮いてるな〜と思っていたけれど、同じくらい浮いてる人がちらほらいたので助かった。道がわからないと嘆いていたぶたきのちゃんを迎えに行って、メメモちゃんにセクハラをして、阿久津と久々に顔を合わせて、エイリアンズを聴いてトイちゃんを思い出して、共演NG暫定ランク1位の退路くんを見かけて萎えたりして、夜はふけていった。のりまろくんがいたら以前はご迷惑をおかけしました、と伝えたかったのだけど、みんな似たような顔をしていたのでどれだかわからなかった。気づけばシャインマートの前で煙草を吸っていたような気もする。そこで柿の木さん(仮)にこんなとこで何してるの?と声をかけられて、吉牛で豚丼大盛りを奢ってもらった。DUBPOP NIGHTはとても素敵な音楽がずっと流れていて、なぜだか急に家のベッドでふて寝したくなった。

明け方、ちかちゃん、その日が初対面だったのだけど、帰らなきゃならないというのでJRの新宿駅まで送っていった。そのあいだ、ずっと腕を組んでいて、始発で各々の家へ向かう有象無象の人の群れのなかでなんだかここだけ温度がちがうような気がしていた。コインロッカーから荷物を出してから、ちかちゃんはすこしふしぎなことを言った。それから、地下からルミネにのぼる階段の影で、あ、あ、

結局、生きていることにも特別な理由なんてなくて、生きようと思ったわけでもなくて、キリが悪くなってしまったから。相変わらず僕はとっくにダメで、これから先もダメなんだと思う。

バスタで、静岡行きの乗れそうなバスありますか、と聞いたときも、生きていこうなんて思ってなくて、ただただ家のベッドで眠りたい一心だった。

10月の逃避行はそんないつもどおりのしょーもないエンディングでした。